機械化が進む今だからこそ、
人にしかできないことの大切さを。
銀行の最前線にして、
銀行員にとっての出発点。
店舗の大小を問わず、窓口担当者は“銀行の顔”と言える。それは、来店されたお客さまにとって、相対する担当者の表情や声、交わした言葉の一つひとつが銀行全体の印象を左右するからだ。現在ローカウンターで受付相談業務を担当する降旗美穂にも、忘れられない窓口担当者がいた。それは高校時代に大学受験の受験料を振り込みに行った際のこと。
「用紙の校名を見て『私も同じ学校の出身です。受験、頑張ってくださいね!』と声をかけられたのがとても嬉しくて。銀行に就職できたら、窓口をやってみたいと思ったんです」。この出来事こそ降旗が八十二銀行を志す最初のきっかけとなった。
降旗が主に受け持つ窓口業務と内部事務の担当者から成る営業店の事務課は、新入行員が最初に配属される課となる。営業職(総合職・地域総合職)で入行しても、多くの新入行員のスタートラインはこの仕事から担当する。銀行業務の基本を身につけると同時に、事務全体の流れを把握するのに事務課の経験は欠かせないからだ。
さらに、お客さまと直に接する最前線に位置し、地域における役割や求められるニーズを肌で感じられる貴重なポジションでもあることも、降旗は日々の業務の中で実感している。
何を求めて来店されたか、
お客さまの思いを
感じることから。
降旗が担当する受付相談業務では、新規口座開設をはじめ住所や氏名などの各種変更手続き、通帳やキャッシュカードの再発行など、長時間の応対を必要とする業務も多く、様々なお客さまと向き合う。中でもお亡くなりになった方の相続手続きは、お客さまの心情にも気を配りながらこまやかに進めていく必要がある。「戸籍謄本や印鑑証明など必要書類が大変多いので、正確かつ丁寧な説明を心がけています。お身内を突然亡くされて憔悴されている方を前に、慰める言葉さえ見つからないこともあります。そんな時、私はただお話を聞くことしかできませんが、それでも話すことで心が軽くなるのか、帰られる時には少し表情が和らいでいるのを見ると、私もほっとします」。
降旗のいる店舗で窓口に来られるお客さまは1日あたり100名を超える。年金支給日など、多い日には200名を超すこともしばしば。お客さまそれぞれ用件が違うように、その日その時の状況によって求められる対応も異なる。

一方で、行員との触れ合いを楽しみに来店されるお客さまもいる。「今日は、よく来てくださるご年配のお客さまに、お孫さんの成人式の着物をどうしようか相談されました」と微笑む降旗。機械化が進み、窓口業務も変革している今、身近にあるコミュニティの場として銀行は見直されている。八十二銀行が地域の方に愛され続けているのは、降旗をはじめ様々な立場でお客さまとの接点に立つ行員たちの、思いやりや気づきの賜物だ。
取組むほどに奥が深い、
事務分野のプロを目指す。
目下、自身の業務に取組むかたわら、二人の後輩のフォローにも当たっている降旗。「振り返れば、これまで数え切れないほどの失敗をしました。だからこそ後輩がミスした時の気持ちも理解できますし、困っている時にどうしてあげればいいのかも分かるんです」と照れつつ語る。「お客さまお一人おひとりに合った対応をすることが求められるので、マニュアルはあっても正解がない。そこが事務の仕事の面白さであり、奥の深さ。もっと勉強して、事務のプロとなるのが目標です」。
